「貴方のアンデッド」世界観


「大好きなぼくが帰ってきたぞ」


 時間の感覚があやふやな死後の世界「境界」。
 天国に行く資格も、地獄に行くほど悪い人間でもない者は、謎の人物が統治する都を中心に、冷たい身体のまま、ここで人間としての暮らしをなぞっている。
 ルールのない無法地帯。
 衛生観念はなく、どこもかしこも腐臭がする。
 身体を保つためには、都で仕事の報酬としてもらえる薬が必要だ。
 選ばれた者だけが手にできるそれを、今日も求めて死体たちは歩く。


【アガペ】
 境界の都製の腐敗抑制薬。
 これがなければ身体は通常通り腐敗が進み、果てには崩壊する。
 市場ではこれの粗悪品が高値で置いてあるが、ないよりはマシ。


【浮葉冬治】うきばとうじ
 17歳で死に、境界の民となった。
 生前は家出の末、とある男の家で世話になっていた。
 自己肯定感は低くはないものの、好きな人のためならなんだってやる。
 なんだって。